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暗号のきほんとHTTPSのしくみ|「鍵」で秘密を守る

2026-08-07 ・ 入門

#暗号#公開鍵#入門#暗号認証

ネット通販もLINEも、裏では暗号が働いています。盗み見されても中身を守る、セキュリティの土台を見ていきましょう。

暗号=鍵でかける南京錠

暗号は、データに「鍵」をかけて**読めない形(暗号文)**に変えること。正しい鍵を持つ人だけが元に戻せます(復号)。

こんにちは平文(読める)🔑暗号化x8#Kp!z9暗号文(読めない)🔑復号こんにちは元に戻る🕵️ 途中で盗み見されても、暗号文のままなら中身は分からない
図: 暗号は「鍵」でかけ、正しい鍵でしか元に戻せない。途中で盗み見されても中身が読めない

← 図は横にスクロールできます →

共通鍵と公開鍵

🔑

共通鍵暗号

  • かける鍵と開ける鍵が同じ
  • 高速だが鍵を安全に渡すのが課題
  • 大量データの暗号化向き
VS
🗝️

公開鍵暗号

  • 公開鍵でかけ、秘密鍵で開ける
  • 鍵を公開して配れる
  • 鍵の受け渡し・署名に使う

公開鍵暗号の賢いところは、「かける鍵(公開鍵)」を誰に見られてもよいこと。相手の公開鍵で暗号化すれば、相手の秘密鍵でしか開けません。だから初対面同士でも安全に通信できます。下のデモで、公開鍵でかけた暗号が「正しい秘密鍵でしか開かない」ことを実際に確かめられます(本物のRSA計算・小さな鍵で動かしています)。共通鍵暗号の代表であるAESを実際にPythonで動かす手順はPython AES暗号化の実装で解説しています。

🗝️ 公開鍵暗号を体験

「公開鍵」でかけた暗号は、対になる「秘密鍵」でしか開けません。試してみましょう

公開鍵(かける鍵)は配ってOK。秘密鍵を持つ本人だけが開けられる——これがHTTPSやパスキーを支える仕組みです

ハッシュ:戻せない「指紋」

暗号と並んでもう一つ大事なのがハッシュ。データを固定長の値に変換する一方通行の計算で、元には戻せません。同じ入力からは必ず同じ値が出て、1文字でも違うと値がまるごと変わります(雪崩効果)。パスワードの保管や、ファイルが改ざんされていないかの確認に使われます。下で実際に打ち込んで確かめてみましょう。

🔑 ハッシュ体験(SHA-256)

文字を打つと即ハッシュ化。上下でたった1文字違うだけで、値がどれだけ変わるか見てみましょう

…

…

AとBのハッシュは 0% の文字が違います

青い文字が「異なる桁」。入力が1文字違うだけで、ほぼ全体が別物に変わります(雪崩効果)

ハッシュは一方通行:値から元の文字は戻せません。だからパスワード保管や改ざん検知に使われます

🌱

署名にも使える

逆に秘密鍵で処理すれば「本人が確かに作った」証明(デジタル署名)になります。公開鍵暗号はHTTPSやパスキーを支える縁の下の力持ちです。

HTTPSは「暗号化された通り道」

Webの通信は、途中でたくさんの機器を経由します。そのままだと、途中で**盗み見(盗聴)や書き換え(改ざん)**が可能。HTTPSは通信を暗号化し、中身を守ります。

🧑‍💻あなた🖥️サイト🔒 暗号化された通り道(HTTPS)🕵️盗み見しても暗号化されていて読めない
図: HTTPS(鍵マーク)は通信を暗号化する。カフェのWi-Fiでも中身を盗み見されにくい

← 図は横にスクロールできます →

HTTP と HTTPS の違い

📭

HTTP(鍵なし)

  • 通信が丸見え
  • 盗み見・改ざんの危険
  • パスワード入力は危険
VS
🔒

HTTPS(鍵あり)

  • 通信を暗号化
  • 盗み見されても読めない
  • 相手が本物かも確認できる

HTTPSなら公衆Wi-Fiでも安全?

カフェのWi-Fiは他人と同じ回線を使うので、HTTPだと危険。でもHTTPSなら中身は暗号化されているので、盗み見されても読めません。とはいえ、より安全にするならVPNの併用も有効です。

⚠️

鍵マーク=安全、ではない

鍵マークは「通信が暗号化されている」印であって、「そのサイトが善良」という意味ではありません。偽サイトもHTTPSを使えます。鍵マークだけでなくURLのドメインも必ず確認を。

耐量子暗号(PQC):なぜ今の暗号が危ないのか

現在のHTTPSやパスキーは、公開鍵暗号(RSAや楕円曲線)に支えられています。これらは「大きな数の分解が難しい」ことが安全の根拠。ところが量子コンピュータのショアのアルゴリズムは、これを高速に解いてしまう可能性があります。

⚠️

Harvest Now, Decrypt Later

「今のうちに暗号化データを盗んでおき、量子計算機が実用化したら後で解読する」——この"収穫先取り"の脅威があるため、まだ量子計算機が無くても今から備える必要があります。

耐量子暗号はNISTが新標準を制定

米国の標準化機関NISTが、量子でも破れない新しい暗号を標準化しました。

🔑

ML-KEM

鍵交換(FIPS 203)

✍️

ML-DSA

デジタル署名(FIPS 204)

🛟

SLH-DSA

ハッシュ署名の予備(FIPS 205)

耐量子暗号への移行スケジュール

米政府機関は2027年から耐量子暗号の調達を開始し、2033年までに全面移行を求めています。企業も、長期間秘密にすべきデータを扱うほど、早めの移行検討が必要です。

💡

つながる分野

「暗号を破る側」の量子コンピュータと「守る側」の耐量子暗号は表裏一体。くわしくは姉妹サイトゆるふわ量子コンピュータもどうぞ。

📚 もう少し詳しく(背景)気になる人向け・タップで開く

暗号じたいは大昔からあり、古代ローマでは文字を数個ずらすだけの「シーザー暗号」が使われていました。ただ、そうした昔の暗号は「やり方(アルゴリズム)」がバレると解けてしまう弱さがありました。現代の暗号は逆で、やり方は世界中に公開し、秘密にするのは「鍵」だけという考え方で成り立っています1。

こうすると、みんなで方式を検証して安全性を高められるからです。共通鍵暗号にずっと残っていた「同じ鍵をどうやって安全に相手へ渡すか」という難問(鍵配送問題)を、1970年代に登場した公開鍵暗号が鮮やかに解決しました。これがいまのHTTPSやデジタル署名につながる、暗号史の大きな転換点です2。

つぎに読むなら

Footnotes

  1. 「方式は公開してよく、鍵だけ秘密にすべき」という考え方(ケルクホフスの原理)。方式を秘密にして守る"隠すセキュリティ"より、公開して検証される暗号のほうが結果的に強い。 ↩

  2. 共通鍵は速いが鍵の受け渡しが難しい。公開鍵は「配ってよい鍵」で暗号化し「秘密の鍵」で開けるため、初対面でも安全に通信できる。実際は両者を組み合わせて使う。 ↩

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